最近よく耳にするインボイス制度って何?【後編】

2022.10.12|コラム

来年の10月(令和5年10月)から、インボイス制度が始まります。
「制度が始まるとフリーランスが損をする」「事務負担が大変になる」といった噂は本当なのか?
前回ご紹介しました制度の基本的な仕組みに続き、後編である今回は、インボイス制度の導入により、実際の取引などにおいて、どのような影響が考えられるかをご紹介します。

2.制度の導入によるデメリット

(1)登録事業者でない取引先に支払う経費について消費税を控除することができない

1.(2)のコンビニの例では売上分の消費税10円から購入分の消費税8円を差し引いた2円が納税額であると説明しました。
文具卸業者がコンビニから8円を預かっているという前提としていましたが、購入先が1.(3)の文房具屋さんだったらどうなるでしょうか。
この場合、コンビニは88円で購入したボールペンについて、消費税を預けていませんから、売上分の消費税額10円から購入分の消費税を差し引くことができず、納税額は10円となります。
コンビニにとってはいずれの場合も、売上金額110円と購入金額88円の差額12円が手元にあるにも関わらず、消費税納税後の手取り額が10円(手取12円-消費税2円)から2円(手取12円-消費税10円)に大きく減ってしまうのです。
このようなことから登録事業者でない事業者への支払について、税負担が大きくなることが懸念されます。

(2)免税事業者への受注が減ってしまう

上記(1)と裏返しの関係ですが、免税事業者は登録事業者となることができないため、経費にかかる消費税が控除できないことを嫌がる大口の取引先から、受注が減ってしまうことが考えられます。
これまでのルールでは購入先が免税事業者であるかに関わらず、消費税を控除することができました。そのため税込み88円で購入するボールペンは相手先に関わらず、税抜き80円として発注できていました。しかしインボイス制度導入後は登録事業者からは80円購入できますが、登録事業者でない場合は88円となり、実質的な値上げとなります。
このように登録事業者となることができない免税事業者にとっては、消費税額分の値下げをしなければ、取引上、不利な条件となってしまうことが懸念されます。

(3)事務手数が増大する

ここまで見てきたようにインボイス制度導入後は、取引ごとに取引先が登録事業者であるか、又はインボイスが必要な要件を満たしているか(=登録番号その他が適切に記載されているか)を確認しなければなりません。そのため、場合によっては相手先に登録の有無の確認やインボイスの再発行を依頼する必要が出てくることが考えられます。

3.なぜ導入する必要があったか

一番の大きな理由は1.(3)の場合のような場合に、免税事業者が消費税の預りを認識しないにも関わらず、発注者が消費税額を控除出来ていたことにあります。これは消費税の多段階累積控除の仕組みからしても、正しい処理とは言えないのは事実です。
現行の制度では、通常の取引の際、相手方が免税事業者であるかどうかを知る術がないため、税込金額で支払った費用に含まれる消費税について、実際に納税がされているかどうか確認することは出来ませんでした。
この点、インボイス制度が導入されると、消費税のやり取りとインボイスが紐づけされるため、税込表記による請求について、トラブルが減るものと考えられます。

さて今回は今話題のインボイス制度について解説しましたが、いかがだったでしょうか。
小規模な法人や個人事業主のように、価格競争力の低い事業者にとって、大きな影響が見込まれます。
制度開始までは、もうしばらく時間がありますので、登録手続きや消費税分の値下げなど、事前に必要な対応をシミュレーションしていくことが大切です。直前になって慌てないよう、しっかり情報収集して対策を練りましょう。

>>終わり

[~記事を書いた人~]

税理士 榊原 浩