土地を中心とした不動産相続に係る近況(第2回)

2022.11.16|実務研究

2.  不動産を購入すると相続税の節税になる?

一般的によく言われている、「不動産を購入すると相続税の節税対策になる?」というのは本当でしょうか。
簡単なシュミレーション表で確認してみましょう。
相続人は子2人とし、単位は万円です。
賃貸建物はすべて入居済みと仮定し、比較をわかりやすくするために小規模宅地の減額特例は考慮していません。

まず、表1をご覧ください。

表1 建築前の相続税計算表 (単位:万円)
項目 金額 備考
①預金 10,000
②土地 10,000 路線価評価
③財産合計 20,000 ①+②
④基礎控除 4,200 3000万円+600万円×2人
⑤課税財産 15,800 ③-④
⑥相続税額 3,340 ⑤に対する税金
⑦課税率 16.7% ⑥/③
・金額を比較しやすくするために、万円未満切り捨てとする。相続人は子2人
・賃貸建物は入居者が満室と仮定、比較を簡単にするために小規模宅地の減額特例は考慮しない。

こちらが、現状の相続財産と相続税の計算表です。
財産は、預金1億円、土地1億円(更地とします。借地権割合60%の地域)の合計2億円とします。
基礎控除額が4,200万円になり、課税財産は15,800万円になるので、相続税は3,340万円になります。
2億円の財産に対する課税割合は16.7%になります。

この預金1億円で、土地の上にアパ-トを建築します。
そして、アパートの固定資産評価額を建築価額の60%(6千万円)とした場合の相続税の計算表が表2になります。

表2 現金でアパ-トを建築した場合の相続税計算表 (単位:万円)
項目 金額 備考 表1からの減少額
①賃貸建物 6,000 建築費1億円の60% -4,000
②建物借家権 -1,800 賃貸住宅のため借家権割合30%控除 ①×30% -1,800
③土地 10,000
④貸家建付地の減額 -1,800 借地権割合0.6×借家権割合0.3を減額 ③×0.6×0.3 -1,800
⑤財産合計 12,400 ①~④の計
⑥基礎控除 4,200 3000万円+600万円×2人
⑦課税財産 8,200 ⑤-⑥ -7,600
⑧相続税額 1,240 ⑤に対する税金 -2,100
⑨課税率 10.0% ⑥/③

表1からの財産の減額要因を見ていきます。
①  現金1億円がアパートの評価額6,000万円になります。⇒△4,000万円
②  賃貸住宅なので、建物が貸家評価となり借家権割合30%を建物の評価額から控除することができます。
⇒6,000万円×30%=△1,800万円
③  土地の上にアパートがあるため、土地は貸家建付地評価となり、借地権割合60%×借家権割合30%=18%を土地の評価額から控除することができます。⇒1億円×18%=△1,800万円
上記①~③の減額金額の合計額は7,600万円になります。
したがって、相続税の課税財産は15,800万円-7,600万円=8,200万円となり、相続税は1,240万円になるので、現状から2,100万円の相続税が減少することがわかります。

自宅の建て替えや住み替えも相続税対策に

このように、賃貸建物を建築する方法が節税効果は大きいのですが、現金もしくは借入金により古い自宅を建て替えること、2世帯住宅にすることも、現金が建物の固定資産評価額である60%相当額になるので、一定の節税効果はあります(上記①の減額です)。
子供たちが独立して、夫婦二人には広くなった古い自宅を60代の元気なうちに、二人が住みやすくバリアフリ-な家に建て替えること、もしくは駅近くのマンションに住み替えることなどは、相続税対策にもなり、老後の生活も豊かで便利になると思いますので、個人的にはおすすめです。

[~記事を書いた人~]

税理士 出岡 伸和