最近よく耳にするインボイス制度って何?【前編】

2022.08.24|コラム


来年の10月(令和5年10月)から、インボイス制度が始まります。
「制度が始まるとフリーランスが損をする」「事務負担が大変になる」といった噂は本当なのか?
インボイス制度の基本的な仕組みと、よくある疑問に答えてみましょう。

1.インボイス制度とは何か
一言でいえば消費税がかかる取引ごとに、その消費税額が記載された請求書(適格請求書=インボイス)を交付・保存するという制度です。

~「今日コンビニでコーヒーを買ったけど、”消費税8%分××円”って書かれてたよ。これはインボイスじゃないの?」~

仰るとおりです。ただインボイスの要件を満たすには、一つだけ項目を書き足す必要があります。それは「登録番号」です。

「登録番号」とはインボイスを発行できる事業者であることを表す番号で、「私は消費税を納税している事業者ですよ」ということを証明するものです。

理解のために、まずは基本となる消費税の仕組みをおさらいします。

(1)普段の買い物をイメージしてください。
Q1.”Aさん”がコンビニで100円のボールペンを買ったとします。支払額は消費税10円を含めた110円となります。この消費税額10円はどこへ行くでしょうか?

A1.コンビニが”Aさん”から10円を預り、国に納税します。10円を負担しているのは”Aさん”ですが、納税者はコンビニとなっています。

(2)次はコンビニの立場になって考えてみましょう。
コンビニがこのボールペンを文具卸業者から80円で買ったとします。支払額は消費税8円を含めた88円となります。
コンビニは”Aさん”とは異なり、消費者ではありませんね。
しかし消費税でいうところの”消費”とは一般的な意味ではなく、モノやサービスを購入すること全般を指し、コンビニであっても消費税は支払います。

Q2.コンビニが支払った8円の消費税額はどこへ行くでしょうか?
A2.文具卸業者がコンビニから8円を預り、国に納税します。

コンビニは”Aさん”にボールペンを売った時に10円を預かっていました。その一方で文具卸業者に8円を預けています。
この場合、コンビニが納税をする金額は、10円-8円=2円でよいということになっています。
これが消費税の基本的な仕組みです。(この仕組みを多段階累積控除といいます。)

(3)次は少し条件を変えてみましょう。
今度は”Aさん”が町の文房具屋さんで100円のボールペンを買ったとします。値札には消費税込み110円と書かれていました。
この文房具屋さんは1年間の売上高が500万円ほどの小さなお店です。
実はこのお店、消費税を納税していません。
しかし脱税をしているわけではありません。なぜかというと消費税の制度上、売上が1,000万円以下の事業者は、事務手数の煩雑さから納税をしなくてよいということになっているためです。
このような事業者を消費税法では”免税事業者”といいます。

上記(2)のコンビニの例では納税額が10円-8円=2円となっていました。
Q3.この文房具屋さんの納税額は、いくらになるでしょうか。
A3.なんと10円-8円=2円は文房具屋さんの利益となります。これは免税事業者が販売時に消費税を預かることも、購入時に預けることもしないためです。値札の”消費税込み110円”はあくまで表記上のことで、実際には”消費税抜き110円”なのです。(このような表記について税法上の制限はなく、商慣習のなかで日常的に行われていることです)

さて、インボイス制度の話に戻します。

インボイスには「消費税を納税している事業者」であることを証明する「登録番号」が記載されている必要があるといいました。
(3)の文房具屋さんは消費税を納めていませんので、登録番号を持つことが出来ず、インボイスの発行が出来ません。
インボイスが発行できない=”消費税込み”という表記をしていないという意味になります。
つまりインボイスが発行されずにモノを購入した場合には、購入者は消費税を預けていない(=負担していない)ということです。

今回は、インボイス制度の基本的な仕組みをご紹介しました。
後編では、制度が導入されることにより、今後どのような影響が考えられるかを考察していきます。

>>後編はこちら

[~記事を書いた人~]

税理士 榊原 浩